王子と乞食
」のレビュー

王子と乞食

河井英槻

大泣きで😩…劇場にいるようでした

ネタバレ
2024年2月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大好きな作者です。完結まで長かったんだと作品レビューで知りました(その長さを知ってられる事がすごいです😩)

「王子と乞食」というタイトルに、どんな物語なんだろうと購入した時はドキドキで。好きな世界だったからか夢中で読みました。

産業革命時のイギリスは日が沈まないと、眩しければそれだけ影が濃く、ユキ(受)の生まれ育った環境にオリヴァー・ツイストやジン横丁を想像したら、その歳までユキが生きて教養まで身につけられた事は奇跡で…だけどその代償を想像したら…苦しかったです😩

アダムスの言葉に「こういうコトを屈託なく聞けるコトが育ちの良さというのだと…」のユキの心の声は重く。はぁ、まだ冒頭…と。庭師の殺害、身分を偽り…愛人のユキがひとり陽の中にいる辛さを想いました。

劇場にいる様な感覚になったのは、語っているような表紙や間話があって…(素敵なんです)間の流れが何だか劇を観ている様でした。

メモのエピソードも良かった。Do you love me ?とカイ社長の告白がLikeじゃなくLove。もう愛の覚悟があるのかなと思ったら、尊いなと。

カイ社長の年齢に、ユキと出逢った頃の彼に果たして心に決めるほどの恋が出来るのだろうか?と思いましたが、彼のオデコを見たらデキる✨と思いました。オデコが広い!(天才😩 )
あぁ…もしかしたら精神はアダムスやユキほどなのに、身体だけがその小ささでもがいているのかなと。そんな風に思ったらジーンとしました。

それでも誕生日パーティーで、彼がユキに銃を向けたのは若さなのかなと…(あの歳でユキの人生の重さは分からない)

いつからか物語のユキの言葉は全て過去形で。彼が恋に気づいてカイを愛したのは、愛というものを知っていたからなんだと思ったら、…あぁ、バスカヴィルを愛していたんだ…と大泣きでした(何度逃げたのも、彼の想いを確かめていたのかと)

カイの求婚も良かったです。最終話はもう…美しくて。

同性愛者はイギリスでは死罪…と言うカイの台詞も良かった。彼がユキを見て秘書は女じゃないの?と言う言葉も1970年以前のイギリス社会を感じて良かったです。

暫く余韻が残る作者の「王子と乞食」、素敵な物語でした✨ (推しはッバスカヴィル😩)
いいねしたユーザ11人
レビューをシェアしよう!