このレビューはネタバレを含みます▼
もうカピカピですよ。初読みの時は大号泣した記憶があります。軽い気持ちで手を出して無防備にこの洗浄力を心に喰らってダメージがきつかったように思います。だから、至宝の作品と認識しつつも、トラウマのように読み返せずにおりました。
今回、知らない間にこの作品がドラマ化されていたのだと驚いて、久々に開いた漫画頁をスクロールして読み進めて……。分かっていても涙が止まらない。消えてしまう方が天使にとっては良い事なのだと分かっていても悲しい。でも、それすらも魂の救済に繋がっていて、羽を見つけて、その羽を母親にも見えている事実に泣いた時、怖いお母さんと思っていたのに、あの的確なアドバイスを貰って天使の父親に会いに行って……。弟との事も、しっかりとは描かれていないけれど、弟からの肉親の情もちゃんと伝わる描かれ方でとても優しいのです。
近頃鬱屈していて、「こんなこと考えちゃダメだよね」と頭では思いつつも、考えても仕方ない妬みや嫉みを呪いのように繰り返し繰り返し反芻していた私は、神様に導かれたかのように、動画をきっかけに原作を読み返して、また聖なる金タワシとクレンザーで汚れた心をゴシゴシされた気分です。痛い。浄化されたけど、やっぱりひりひりする作品。凄いなぁ~って思います。この作者さんのふり幅がとにかくすごい。
BLというジャンルを毛嫌いする人もいるし、色物扱いされることも多いけれど、でも、とんでもないポテンシャルの作品が転がっている事のあるジャンルでもあるので腐に目覚めて良かったと思います。そしてこの作品は、BLというジャンルに収まらない、魂の救済の作品で、好みは分かれると分かっていても、沢山の人に読んでみて貰いたいと思ってしまう物語です。容赦なくむさくるしい人物描写と部屋の汚さを描き、そしてあの可憐な中学三年生というまだ中性的な少年を配置するあたりが……!!男の子らしさも感じさせつつあの可憐さが本当に天使に見えて儚くもあって、ラストの愛おしさに繋がります。洗浄力が強すぎて、頻繁に読み返すには辛さがあるのですが(個人的な見解です。許してください)、至宝BLとして、私の中では祭壇に飾りたいくらいの作品です。