このレビューはネタバレを含みます▼
雑紙で全部読んでいて、コミックスが手に入り、描き下ろしも読めた。
ナツギイチ先生の作品は不穏な形から始まるものに感じる(デビュー作も)。進むと最終的には溺愛なんだけど。
謎人物(実は画家)と疲れ切ったリーマン。
鬱寸前(ちょっと足はかかっていたかも、自 殺念慮があったから)で、心身共に疲れ、酔いつぶれていたセイジ。拾った縁で助けるスオウ。
「濁った世界」には両者の世界観があると思う。スオウは描く絵が濁りの色を使うことが多く、そのように見えている感性があり、昔は他者が受け入れてくれなかった。有名になるば手の平返しをする人々と向き合うことはできなかった。
セイジは、仕事の中で信頼や信用が薄れ、自己肯定感が下がり世の中の綺麗な部分は見えなくなっていた。この世は濁った世界だ。
2人とも孤独だけどそれに気づかず、2人が再会(セイジは覚えていない)して一緒に過ごす事で楽しさや愛おしさを知り、会えない寂しさを感じ、孤独であったことを知る。
スオウがセイジに対してパトロン気質で世話焼き好きなので、セイジはバツが悪いが、互いを必要として仲良くやっている。
両者が再会することで、両者が救いになった救済系。
絵の好みはあるかもしれないが、ストーリーがとてもいい。
エチはあります。