薔薇王の葬列 王妃と薔薇の騎士
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薔薇王の葬列 王妃と薔薇の騎士

菅野文

王たる所以

ネタバレ
2024年3月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 薔薇王の葬列では敵国の王妃として描かれていましたが、本作ではマーガレットの本性が垣間見えるシーンが数多くあり、彼女にも乙女の一面があるということが知れました。しかし、夫であるヘンリーにはやはり王たる資格はなく、慈愛あふれるだけでは国を守れないということがよく分かります。本作では薔薇王の葬列よりもヘンリーのダメな部分が露骨に描かれているので、ただの読者の私でも「こんな王は嫌だ」と感じるほどでした。愚王と呼ばれても仕方がないヘンリーを支える(ほぼ支配)マーガレットの苦悩は計り知れませんね。マーガレット自身、自分が男ならと女の性を否定するシーンもありますが、当時の時代背景などから現代よりももっと深刻な男尊女卑の扱い、その中での積極的な王政への参入は周りからの反感も計り知れなかったと思います。王たる所以を持ち合わせた1人の女性が強く描かれている作品だと思います。是非たくさんの人に読んでいただきたいです。
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