ダイヤモンドの功罪
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ダイヤモンドの功罪

平井大橋

指導者の欲と主人公の望み…切なさの極み!

2024年3月23日
野球もの…というか、この作品は「稀有な才能は必ず生かさなければ、それは罪であるのか?」という問いかけかと思いました。主人公の望みは…純粋で痛々しくて…でもそれを周囲の人間(特に大人)は、「才能ある人間の傲慢」だと思いがちなので余計に可哀想。別に望んでもいないのに、稀有な才能を持って生まれた主人公、周囲からは羨望の的の才能なのですが、本人からすると…。唯一の救いは主人公の家族は主人公を理解しようとしてくれているし愛情も注いでくれているところかな。まぁ、代表の監督も主人公を大まかに理解はしているけれど、自分の息子への愛を取った(その選択は父として正しい)ので、主人公からすると突き放された状態だし…。スポーツものでこういう葛藤を描くのをメインにする作品は初めてかも(脇役でこういうキャラはいることはあるけど)凄い作品だと思います。読んでてスポーツものというより、心の葛藤と焦燥が募る作品なので、よくあるスポーツものとして読もうとするとキツイかもしれない。でもとても面白いです。指導者の欲と使命感と現実、そして主人公の葛藤と精神的負担、周囲の子供たちの悔しさと羨望…そういうものがギュギュと詰まってます。本当に面白いけど切ない!恋愛物でもないのにこんなに切ないのないよ…ってなる程に切ない!
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