地下室のワルツ~蜜と罰~【おまけ付】(イラスト付き)
華藤えれな/周防佑未
このレビューはネタバレを含みます▼
えれな先生のオメガバースものが好きで何冊も読ませていただいてます。こちらは表紙絵のイメージから、先生の監・禁モノって⁉と恐る恐る手に取りました。双方合意のSMはまだしも、無理やり調教みたいのはあまり好みではなく…。でも読んでみたら、さすがえれな先生ワールドだなぁと。ストーリー自体が重厚で読み応えありました。日本人のナツキが母の再婚(国際結婚)で旧ユーゴスラビアへ移住。軍の高官の息子で寡黙な少年アレクと出会い、愛し合う関係に。その後、ボスニア民族紛争に巻き込まれます。セルビア人のアレクと、ボスニア側のナツキはある日突然引き裂かれ、ナツキは銃口を向けられることに。通称スナイパー通りでの出来事は臨場感あって息を止めて読みました。20万人が犠牲となったと言われるボスニアのジェノサイド。ナツキは家族全員を失いますが、家族が虐殺にあったのはアレクが原因だと聞かされます。アレクへの憎しみと、捨てきれない愛。ナツキは生き延びて医師となり、アフリカで小児科医として診療にあたりますが、仕事のためパリへ。そのパリで、十数年ぶりにアレクにそっくりな心臓外科医、ヴォルフと出会い…。憎い家族の仇を愛した自分。ナツキは愛を選ぶんですよね。まさに愛と憎しみの果て。この辺りの逡巡するところとか、すごくよかったです。冒頭は暴力的なシーンから始まりますが、最後には、アレク(ヴォルフ)はずっとナツキを愛し、守ろうとしてたことがわかります。すごくよかったです👍
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