書き損ないのつくりごと
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書き損ないのつくりごと

宇肘

図書室の風が吹く

2024年4月1日
宇肘先生を知ったのはネットでイラストをサーフィンしていたとき、とにかく感情や動きの描写が上手くて「この人、プロだよな…」と探して見つけたのがこちらの作品です。逆に本作しか見つけられてないんですが、デビュー作、、、?なんですかね?最初の印象から変わらず、本作も絵から入ってくる情報がとても多い作品です。
中学校の図書室の窓から射す光や特有のホコリと木と古い紙の混ざったニオイ。静かにしなければならない部屋のそこかしこで聞こえる内容までは聞き取れないヒソヒソ話。あの頃の青い情景がうん十年経って思い起こされるような作品です。

物語の主人公は、本が大好きな同級生・枝折と萩ちゃん。中学生の頃、意気投合した二人は枝折の書く小説に担当さんのように相談にのったりアドバイスしたりする日々を過ごしていました。
ただそんな毎日に、思春期特有の自尊心や独占欲、友情や愛情の混ざった感じが介在し始めて二人の世界が二人の世界じゃなくなっていく事で一度壊れてしまいます。
大学生になった二人は再開し、また、二人で物語を紡いでいく作業がはじまる。そして、中学生の時に掛け違えたボタンを掛け直すようにしてまた、二人の世界をはじめていく。そんなストーリーを丁寧に描かれていた素敵な漫画でした。
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