勘違いと偶然が生んだ恋

容姿端麗で有能、社内での人望も厚い男が、同期の堅物無愛想男に片想いされていると勘違いしたことから始まる恋のお話。
吉岡の勘違いから始まるこのお話、勘違いに至るまでの過程もBL小説の主人公と名前が同じという偶然も、気持ちを確認しないまま豊田と関係を深めていく展開も全てが吉岡の思い込みなのに、憎めないし面白いし切なくなるという全部盛りです。豊田の想いに応えてあげるつもりが、気付けばメロメロに堕ちていて、あんなにカッコ良くしていた吉岡がヘロヘロになっていくのがとても可愛かったです。そして、豊田が見た目とは違って意外にオスで、しかもクズよりの思考の持ち主なのもツボでした。更には、飯塚という3人目の男が当て馬かと思いきや、吉岡と同じ勘違いをした応援隊だったというのも斬新な設定でした。
カッコつけて気持ちの確認を怠ったことで、勘違いが盛大な事故になってしまった訳ですが、だからこそ豊田とは上手くいったというのもとてもひねりがある展開で上手いなと思いました。そして、えちシーンがなかなかにエロくてそれも嬉しい誤算でした。
色々な面白さが詰まった1冊だと思います。