私たちの幸せな時間
」のレビュー

私たちの幸せな時間

佐原ミズ/孔枝泳/蓮池薫

涙することは初めからわかっていた。

ネタバレ
2024年4月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 佐原ミズ先生の作品ということで読んでみたかった作品でしたが、確定で泣くであろうことを思うとなかなか読む勇気がありませんでした。
本日、私の住む町はとても天気が良く暑いくらいの陽気でした。
風も気持ちがよく、日曜の午前中表紙の様な木漏れ日の中一人の時間を利用してテラスで1ページ2ページと読み進めました。

生き物は生まれて死んで生を紡ぐ。
何のために?なんなのだろう。私はまだ答えを見つけられずに生きています。
この本の中の二人は生きることに価値を見出すことが出来ず苦悩し続けていました。自分ではどうすることもできない理不尽や暴力の中で沈み沈み沈んで。
一人はもがくことさえ手放し、一人はもがくことで自分を殺し続けて、すがる手さえ抱えて震える姿に思わず読む手を放して顔を覆ってしまいました。
それでも愛をしってしまえば生きたくなる、生きて朝目覚めたいと懇願してしまう。
人にとって愛とは何なのだろうか。

非常に重くお腹に鉄の重りを入れられるようなストーリーですが、佐原先生の繊細でさわやかな絵が憎しみも醜さも全てを含め人の儚さや美しさ表紙のように生きることの愛おしさを伝えているのかもしれないと思えました。
原作を読んでいないのですが、原作はもっと私の深く深くに届くのかもしれません。もしかしたらまた別の思いも浮かぶのかもしれません。

嗚咽号泣により片頭痛を発症しキラキラした午前中のテラスは無残な形で終了しましたが、また年月が経ち読み返すことと思います。

翻訳が蓮池薫さんであることは、数奇な人生を歩んできたであろうことを想像し感慨深く思います。

**245ページ**(紙書籍にて)
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