2世と器
」のレビュー

2世と器

戸ヶ谷新

重いテーマだけど、知ってほしい。

2024年4月20日
宗教2世やアロマンティックについて知ってほしいという思いが伝わる。こんな重いテーマについて、身を削る思いで描いてくれてありがとうございますと戸ヶ谷新先生に言いたいです。エロな展開もなければ、キュンとする展開もありません。重い悩みを抱えた高校生二人が、ある出来事をきっかけに近づき、悩みを共有し、絆を深めていく話です。春一と永真の境遇が辛くて、基本的に読んでいて苦しいです。でも、二人の関係は紛れもなく『愛』だなぁと思って泣ける。マジョリティとして生きていたら関わりもしなければ耳にすらしないかもしれない、セクシャルマイノリティ(ゲイだけではなく)や宗教2世、宗教絡みの虐◯をされた人々がいることを知るきっかけになる作品だと思いました(是非、戸ヶ谷新先生のブログを読んでほしいです。作品への思いが綴られている)。

私事になるけれど、たぶん自分はアロマンティックな気がしていて、恋愛が上手くできないことが人間として欠損しているのでは?と悩んできた経験があるし、いい大人になった今でも、愛し合える人に一生出会えないかもしれないという不安や悲しみは付き纏っていて、だからこそ、いろんな生き方があるよ〜みたいに思える作品があると、心がほんの少し軽くなります。私はこの作品に出会えてよかったです。
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