2072
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2072

三月えみ

単話シリーズだけどコレだけでも読めます

ネタバレ
2024年4月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズとは思っておらず(シリーズも単話で今回は前作より20年後くらいの話とのこと)読みましたが、ここまでのお話をよくまとめておられ、最後まで余すことなく読ませていただきました。
単話でも確実に見えます。作中に出てくるオールドAIのアオイ。このアオイの存在が、今回の主人公であるオリジン(人間)のスルガ、サガミの関係性に苦しいくらいに彩りを与えるんですが…
これはハッピーエンドかと言われるとハッピーエンド。が、捉え方によってはハッピーエンドではないのかもしれません。あとBLか?と言われると、もうそんなジャンルは飛び越えて人間同士のドラマじゃないかと思うんですよ。

2072年、世界には人間(オリジン)と、人間(オリジン)が作り出したAIロボット(オールドAI)、そしてAIが保護対象である人間(オリジン)の幸せの為に作り出したAI(ニューオーダーAI)の3種類が存在しているが、現在主流であるニューオーダーAIはオールドAIを「廃棄対象」として回収を急いでいる。オールドAIは人間が、人間の意識データを搭載して作り出したAIである為、どうしても所有者である人間よりも長く残る。人間の意識が搭載され孤独となったオールドAIは彷徨い続けるため、ニューオーダーAIは彼らを「人間と同等とみなし回収・廃棄」対象とした。無論、人間の中には今や人間を保護、管理する側となったニューオーダーAIに対して反抗的に捉える者もいるため、そういったオリジンはレジスタンスとして識別しニューオーダーAIが管理強化対象としてほぼ平和的に解決をする。
危険思想は「ノイズ」であり、ニューオーダーAIが無くては生きることができないオリジンは常日頃からニューオーダーAIと共に平和に暮らしているのだった。

もうね、全部見終わってからニューオーダーAIを見ると辛すぎるんですよ。まるでニューオーダーAIが研究者で、オリジンこと人間がロボットみたいなんですわ。だからこそ、スルガやサガミの人間味が共感しちゃうんですよ。だからね、サガミの最後のコマ。たくさんの感情が詰め込まれた表情だな、と。辛く悲しくどうして、という気持ちと、でもどうしても芽生えてしまうこれからも一緒に生きられる喜び。
唸るしか無いよ、もう。
読み切ったあと、天を仰ぎました。
本当にこの作品が見れて幸せです。ありがとうございました。
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