源氏物語 あさきゆめみし 完全版
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源氏物語 あさきゆめみし 完全版

大和和紀

源氏物語・千年ロマンス

2014年3月30日
世界に誇れる日本の王朝文学を漫画で読めるのはとても嬉しい。古文で読むには長いし解りにくいがこの作品ならほぼ原作と同じでとても解りやすい。私がこの作品に出会ったのはまだ10代の頃で学校の課題として源氏物語原作を読んでレポート提出しなければいけなかったのだが、原作を完読出来ず、この作品を一気読みしてレポート提出したところ、教諭に漫画だとバレて、こんこんと説教され、レポート再提出する羽目に……なぜバレたかというと、光源氏が亡くなるシーンが原作と違うのです。教諭に『毎年君達みたいな生徒が何人かいるしな、先生もそのマンガ持ってるから。』と言われてしまいました…これがきっかけで実は私、原文で古文や各地の風土記、古代神話など、時には海外物も研究対象とした仕事を数年前までやってまして、中でも源氏物語はそんないきさつもありとても好きな作品で、千年以上の歴史ある今まで読まれ続けた生き残れた秀作なのです。当時の時代風景、生活様式を考えれば特別素敵な男性1人に素晴らしい女性が何人もいるのは普通なのですが、ちょっと意地悪く考えれば、これが現在ならプレイボーイと愛人達という修羅場は免れないエライ関係に…… ? 世界に誇れる王朝文学、千年ロマンスなどと言われていますが、本当にいにしえの良き時代色んなシーンで描かれていますよね?お文(歌)にはお相手に合わせ紙を選び香をたきしめ、季節やお相手に因んだ花や一枝を添えて贈る、祭では車競り合いも女主の裁量ひとつで納まるかどうかなど。また、源氏の君の女人方はどのお方もすばらしい方がたばかりで圧倒されるが、彼自身恋多き男性でお相手を思う気持ちは其々の方がたに対する愛だったろうけれど、源氏の君が真実愛した女性は藤壺の女御と紫の上の二人のみ。このお二人は他の女人とは別格。藤壺との事はどなたも知らぬ事だが、他の女人方が紫を立てて差し上げるのにはやはり紫自身の魅力と、何より源氏の君が真実愛した女性だったから。実は大和先生には光源氏を主人公にした『ラブ・パック』という作品がありますが、私は長編だけど断然あさきゆめみしをオススメします。絵は美しいし、カラーの挿絵はもはや芸術作品レベル。この作品、歴史好きな方なら絶対読んで損はさせません。いつも書き込みますが、この年代の作家さんの作品は秀作ばかりで絶対におすすめ出来る作品です。★5じゃあ足りない程です。
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