毒を喰らわば皿まで
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毒を喰らわば皿まで

十河/斎賀時人

元宰相閣下の掌でコロコロ転がされる快感

2024年5月20日
誰がというと、自分が。読者がコロコロ転がされてます。漫画版も拝読しましたが、自分は小説の方が没入感があって好きです。
悪役宰相アンドリム閣下が意図して展開する偽りの世界観、竜巫女、金塊、亡者の残した日記等の意味。それぞれの理由が意味合いを変えられた結果、劇中劇みたいに広がってきます。何度読んでもネタが分かっててもつい騙される転がされる、この劇中劇の方が健気で可愛いんだもの、閣下の娘のジュリエッタが!
この感覚は漫画版より小説の方がより強く感じる気がする。いつの間にか悪役がキャラ変換されてるこの感じ。癖になります。本作の主人公は決して正義の人ではない、彼の所業の結果えらい不幸になった人もいる。それでも何でしょう、凄く魅力的。以前なろうで読んで、出版化後にどーしてもまた読みたくなり購入。ふと気付いたらまた読みたくなる、そんな作品です。
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