アウターハロー
」のレビュー

アウターハロー

嘉内

音楽が聞こえてくる繊細な世界観。

ネタバレ
2024年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ レビューがまだ3つしかなくて、この感動を伝えたいけど私のつたない文章力ではこの作品の良さを伝えきれないんですが書かせていただきます。
バンドものって音の出ないコミックで表現するの、すごく難しいと思うんですがこの作品は作家様がバンドやライブハウスの臨場感をとてもうまく表現されていてあっというまにこの作品の世界観に引き込まれました。
大学時代のバンドが解散してなんとなくで先輩バンドへの参加をきっかけで中学の先輩のバンドを追いかけて大阪まで行ってしまう主人公のふわふわと主体性なさそうで実は音楽大好きでバンドを音楽をつづけたいっていう気持ちに一本筋が通っているところ、素敵だなって思いました。バンド仲間もみんな素敵な人たちで、酔った勢いで宙くんがなおさんに告白しちゃったときにバンド仲間が「宙くんはいうつもりなかったかもしれない、自分の言ったことに傷ついて東京帰っちゃったりしたらかわいそうだから一旦なかったことにしようか」ってバンド仲間に言うのが、さらっとしたシーンなんだけどサブキャラもちゃんと確立された人格があって、物語を構成するうえで大事な役割を担ってる。ただ単にモブやら当て馬やらじゃなくて、でてくる人物みんなが生きてて、だからこそリアルで、新人さんだと思いますがものすごく細かく世界観やキャラ設定とか考えたんだろうなと…
なおさんが宙くんに「自分と○○○○したいとか思う?」と聞くシーン、あそこで逃げずに宙くんの手を取って「好きです」って告白した宙くん、偉い!こっちもよくやった!!ってぶわっってなりました。
最後のタイバンシーンでなおさんがMCするところ、あそこのセリフで泣いた。バンドのメンバーの数だけ人生があって、出会いと別れを繰り返す。バンドの解散は居場所がひとつなくなることだけど、それでも人生は続いて、新しいバンドもできて…次に進もうとする人のために捧げた歌。それがアウターハローです。アウターハローは自分の好きな曲を勝手に当てはめて聴いてめっちゃ泣きました。とにかく優しい世界。読んでる人を応援してるような強いメッセージを感じました。長くなりましたが、絵も綺麗で繊細だし作風にとても合ってる。こんなにデリケートなお話描ける先生に出逢えたこと、感謝してます。みんなに読んでほしいです。
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