君に注ぐ100dB
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君に注ぐ100dB

宮田トヲル

北海道が舞台の透明感溢れるDKの恋

ネタバレ
2024年5月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 札幌郊外に暮らす高1の花巻奏多は伸び伸び育ったごく普通のDKです。動画配信で知ったハイトの歌がお気に入りで自分でもピアノを弾くのが大好きな奏多のクラスに季節外れの転校生がやって来ます。東京から来た唄川孝宏は長い前髪でぼそぼそ話す徹底した陰キャでした。世話焼きの奏多の親切な申し出をけんもほろろに断る唄川ですが、放課後に奏多が一人でピアノを弾いていると吸い寄せられるように寄って来ます。奏多に言われて渋々前髪を上げた唄川はびっくりするようなイケメンで、歌声はハイトそのものなのでした。絶対音感と共に歌い手の感情まで読み取れてしまう奏多と、いかにも訳アリっぽい唄川との距離が日常の中で自然に近づいてゆきます。家庭の事情もあって誰とも関わらないように生きてきた唄川の手を引くようにして奏多が外の世界へと連れ出します。その過程がシャーシャー言ってる野良猫を手懐けているみたいで楽しいです。そして恋に気づくと今度は唄川が奏多の手をそっと引き寄せます。2巻の時点でエロはちらっと程度てまだまだこれからですが、DKのキラキラの初恋が丁寧に描かれています。
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