蛍火艶夜
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蛍火艶夜

amase

表現力が半端じゃない、引き込まれる

2024年6月2日
他サイトで1話だけ試し読みした時に、短編集なのかな?と思っていましたが、橋内中尉の話を挟んだ後は、1話の田中志津摩と八木中尉の話になります。1話だけで終わっていても違和感が無い程まとまっていたので、その後の展開に意表をつかれて、上手い作家さんだなぁ~と驚きました。八木がどんな人物であったか、志津摩とどの様に愛し合ったのか、そして淀野さんの不穏な執着の行方が描かれていてとても読み応えがありました!

登場人物の気持ちを読者の想像に委ねられている箇所がいくつかありますが、表現が素晴らしいです。
特攻隊をテーマにBLって凄く難しいと思うのですが、この作者様はすごい。戦争を舞台にただ刹那的な愛を美しく描いている漫画ではないです。
志津摩に関しては、特攻というものをゴールに据える事で自分自身を身軽にし、ある意味で救いになった面もあったのかもしれませんが…そんなの本当は間違ってる。弱さを見せない、笑顔の志津摩が不憫で愛しくて堪らず、八木中尉の表情と合わせて涙がとまりませんでした。戦争、ダメッ…!ぜったい…!!
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