このレビューはネタバレを含みます▼
熱い内容のレビューを拝見し、とっても気になっていたので購入しました。
素晴らしい画力で、影の表現については細い線の1本1本を丁寧に描かれていて驚きました。
作者様の想いの強さが力のある画から伝わってきます。
あっという間に話に引き込まれ、途中から涙が止まらなくなってしまいました。
主人公の大我と優。それぞれが抱える心のトラウマと矛盾は根深い。物事を深く考えない(ようにしてる)大我の強引な告白から二人の関係は始まります。優は演劇に真摯に取り組む中でどうしても避けられない自身の問題に行き詰まり、それとは逆に優によって本質を見る事を教えられ人として成長していく大我。
焦燥感を募らせる優は更に深い孤独を感じて大我とぶつかりますが、弱さを見せて受け入れる事で自ら成長し変わっていきます。
確かに大我は変わって人として成長したけれども、軽率でおバカな大我だったからこそ優との関係を始める事が出来たし、変わっていく姿を優に見せる事も出来た。
人は変わる事が出来るけれど、それ以前にその人にしか出来ない事がきっとあるという、諦めないで欲しいという…希望に溢れたメッセージを受け取った気がします。
この作品を20代前半で描かれたとは本当に驚きました。もう他の作品を読む事ができないのは心底残念ですが―――素晴らしい作品を届けてくださった事に心から感謝いたします。