うそつきカメレオン
」のレビュー

うそつきカメレオン

たべお

理解出来なかった人にも読んでみてほしい↓

ネタバレ
2024年6月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 嫌われることが怖く八方美人で自分の意見すら流してしまう智充と、見た目だけを好いてまるで装飾品かのように扱ってくる他者に辟易し、わざと他人と距離を取る夏目。

最初は夏目に対して「人の目を気にせず過ごせるの憧れるなぁ、でも俺には出来ない」と若干の嫉妬のようなモヤモヤをもつ智充の苦しさが生々しく描かれてて思わず「リアルだな〜」と思ってしまいました。

そんな時にかけられたコンプレックス一突きの夏目の言葉にイライラ+劣等感MAXの智充。その後あのゴミ捨て場での出来事で「自由に生きて、他人の言葉にも振り回されない、俺が羨むお前の動揺した顔が見てみたい」という独占欲にも似た感情を抱く、無意識に羨望する相手の"特別"になってみたいと思っているような智充の心理描写が細かくてすごく切ない。

それをきっかけに、人をほっとけない根っからの優しさを持つ智充と、「自分そのものを見てくれる人」をずっと求めていた夏目の物語が始まります。

結局、最初に智充が夏目に対して抱いていた羨望・嫉妬の気持ちを裏返せば純粋な好意だったんだと思う。
そして他人と関わることを諦めていた夏目も、誰とでも仲良く出来てしまう智充を無意識に特別に感じていたような描写があるので、広い意味で捉えると最初から2人は両思いみたいな部分はあったのかもしれません。ただ、それを確立させたのは2人の歩み寄りのおかげなのがすごく良いと思いました。

お互いに欠けていたピースをお互いが埋めてくれる、切ないけど温かい気持ちになれる作品でした!
ドエロBLが大好物なので絡みがないのは少し残念ですが、逆にストーリーにめっちゃ入り込めたので結果的にはすごく美味しかったです。
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