あなたの愛など要りません
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あなたの愛など要りません

冬馬亮/ありおか

死に戻って幸せを掴み、周りも幸せ一杯に!

ネタバレ
2024年6月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 死に戻りの話しはかなり好きです。
この話の場合、死に戻ったヒロインが一度目に幸せにできなかった息子ランスの為に、一度目とは違う行動を起こすことで、結果的に周りの人達も自分も幸せを掴むことができたのですね。
自分の幸せの為でなく、あくまでも息子の為に、一度目と同じ悲しい子供にさせないように、周囲を巻き込んで皆で幸せになるのは、読んでいてとても楽しかったです。
ただ、夫のヘンドリックもかなりかわいそうな男だとも思うのですよ。
「運命の人」を間違えましたね~
「強かん魔から助けた」つもりの女性アリーを「運命の女」と思い込んでいるようですが、「孤児院で狼藉者達から助けた」ラシェルこそが「運命の人」だったはずなのに。
アリーはヘンドリックを愛していなかったし。ヘンドリックもアリーを愛してはいずに、単に居心地が良いだけのことを「愛」と勘違いしているし。
ラシェルを妻とした後も、彼女だけに激しく感情的(怒りや憎しみなどの負の感情)になるのも、愛している自覚がないが故の、少し壊れた心を持つ彼のかわいそうな心ゆえの暴言なのでしょう。
ヘンドリックを殺した奴が、あの時の強かん魔?であったことや、その後のアリーと公爵家との話し合いを強かん魔?が仕向けた展開は、正直ナゾです。
エピローグで、ラシェルが天寿をまっとうして、死後の世界で「灰色の男」に聞いたお話には少しだけ?があります。
息子ランスが、ラシェルの一度目の生の時には、彼女の死後には誰も幸せにはなれず、自らも不幸せな生を終えた時、非業の死をとげた母の、死に戻りと幸せを願うのはわかりますが、どの時間軸にいるのか?全ての中心はラシェルなのか?他の人達の願いは?等々と。
ただ、二度目の時にラシェルの二度目の夫となった、ヘンドリックの弟のキンバリーが、ラシェルより少し早くに亡くなり、そして既に次の生への生まれ変わりに行ったこと。
おそらくダラダラと灰色の男のもとで過ごしながら、心の壊れを埋めていったであろうヘンドリックが、ラシェルが亡くなったと同時に、ようやく新しい生へと飛び出していったこと。
次の生(全く違う人間として)では、ラシェルとキンバリー、ヘンドリックとは、いったいどういう関係になるのか。3人がそれぞれ違う階級に生まれる可能性もあるし、遠い場所に生まれて、全く接点がないということもあるしなぁ~、なんてことも考えてしまうラストでした(笑)
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