おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】
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おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】

晴田巡/荒瀬ヤヒロ

鳥籠から空へ

ネタバレ
2024年6月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 永らく、洋の東西を問わず様々な常識や価値観、制度などにより女性はその生き方を制限されてきました。それは「実は女性は大胆かつ行動力があるから自由にするとどこまでも飛んでいくため、やがて国が滅ぶからだ」という考察をきいたことがあります。(実際、日本の地方ではその傾向がみられ、ジェンダーギャップ指数において日本よりはるかに上位にある国々でも出生率は低下しています。つまり、経済的事情だけが理由ではないことが示唆されているわけです。)一方で、そうした社会制度の下では女性は守られる立場とされ、子育てに専念できる(させられる)わけです。自由な生き方には責任と自らたたかうことまでが求められるからです。はじめはそうした封建的な社会の中で常識的に婚約者を慕い、規範に則って関係を深めようと努力したニコルも彼女の尊厳を護ろうとしない婚約者のあまりな対応に傷つき、絶望し、やがて気付きを得て若者らしい行動力を発揮し、「自由」を知ります。そう、だからこそ「事態は深刻」なのですwこの構図が現代に通じると感じる所以でしょうか。一体、自由になった彼女はどこまで翔んでいくのか。婚約者の立場にあぐらをかき、若さゆえか、彼女への想いを示さず、言葉足らずなだけでなく、彼女を守るという努力を怠ったケイオスに今後求められるのは羽ばたく彼女の、もはや止まり木に過ぎないでしょう。2巻では、その慌てる表情からこれまでのケイオスのニコルへの想いがよく伝わり、作者の力量が感じられます。コミカライズとはかくあるべきかなと。彼女に振り回されながら、彼女のためにどんな止まり木になれるのか。二人の関係性がどうなるのか、今後が楽しみです。
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