或るシカリオの愛
」のレビュー

或るシカリオの愛

砂原糖子/稲荷家房之介

圧倒的な世界観の構築

2024年6月30日
本当にうまい作家さんです。ノリと勢いで書く作家さんも多くいる中(それはそれでおもしろいのですが)、文章力もあり、物語の世界観の見せ方も心得ているプロの作家さんだと感じます。愛や人との繋がりについての深いテーマがあります。そんな結構シリアスなテーマを背景にしているのに、BL要素をエロく入れてくるって、もうやってくれますよね。私にとっては当たり外れのある作家さんですが、この作家さん特有の乾いた文章が今作の世界観と合っていて、いつまでも読んでいたい気持ちになりました。心も身体も痛いシーンがあり、特に身体が痛いシーンはひーっとなり読み飛ばしましたが・・。ジャレスが酸いも甘いも噛み分けた色気撒き散らしている大人の男で、ルカじゃなくてもやられますよ、あんなん。そしてルカもどんどんワンコ化していくのがかわいすぎました。自分にしか懐かないワンコっていい。でもジャレスなんで、ちゃんとルカを誰にでもかわいがられる子に仕上げちゃうのですが・・。その大人の男が思い余って見せる独占欲がたまりません。とにかく多方面に楽しめる小説です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!