このレビューはネタバレを含みます▼
先生の最新刊、印象鮮明、神秘的な旅の絵本のようでした。
私は新刊が出る度、初めてお名前を知り初めて読んだこの作品を再読します。何度読み返してもラストで感極まります。物語は持つ者、持たざる者の濃さは違えども孤独と苦悩と不確かでは無い愛のお話。細かい描写に引き込まれ、ラストは悪足掻きさえ出来ぬ絶望的な全身ホイ帯姿。それでも迎えに来た彼には心の目を通して、以前の美しい姿を感じ取れているはず。包帯から溢れ出す涙は、人生の重い甲冑を外し、野性のギラツキを捨てた安堵と再会した感動の清らかな涙。人間、命あっての物種。どんな形であれ、生きてさえくれたら自然と手が合わさります。養子の子は嫌い大嫌い愛してるの迷い犬の様にちょこまかして三人で暮らしていってくれるでしょう。それにしても、先生の頭の中には物語を紡ぐ仕立て屋さんが居られるのでしょうか。どうしたら、このような作風を手繰り寄せられるのか。作品に触れさせて頂く度、心は過剰反応と絶句のオンパレード。何とも困った一読者と自覚したところで少しの我慢もきかず、達しても達しても溢れ出すアルク先生愛。淡々と幸せな人生を送る私を極限まで身悶えさせ、浮き足立たせるARUKU先生は、やっぱ最高です!