ひつじの鍵
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ひつじの鍵

一穂ミチ

その後の2人が見たかった

ネタバレ
2024年7月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前読んだ「Tonight, The Night」がとても良かったので、作者買い。

母の再婚でお金持ちの社長の息子になった高校生の羊と、カード会社のコンシェルジュ一色のお話。

全体的に可もなく不可もなく。

強いて言えば、羊が一色の家に元嫁の写真を盗みに入るエピソードが嫌だったかな。
いくら自分の元家の鍵と一致するからといって、人の家に勝手に入って物を盗む行為はいただけません。
高校生の幼さがさせた…ということなのかもしれませんが、そこは踏みとどまって欲しかったです。
元嫁の写真は夏目雅子だったというオチだったところで多少罪悪感は払拭できますが、それまでもそこそこ羊のワガママシーンが多く、いまいち主人公に感情移入できませんでした。

クズ実父の登場や、地元での妬みエピソードなど羊に同情する点も多々ありましたが、ワガママ坊主のイメージは覆せず。

気分的に主役は完全に嫁子だったような…。
温度差で消したはずの文字が復活して彼女の想いを知るとか、死んでしまっているが故に彼女の切なさ、敵わない感がひしひしと伝わってきました。
一色は恋愛というより尊敬で別カテゴリーだと言いますが、それはそれで嫉妬してしまうだろうなぁ…という素敵な関係性で、恋愛初心者の羊には辛そう。

もう少し成長して大人になった羊と一色のその後が読みたかったです。
2人の関係がどう進んでいくのか、そちらの方が気になりました。
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