王子と乞食
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王子と乞食

河井英槻

超大作だね

ネタバレ
2024年7月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 3巻完結作品。2004〜2023年と完結までに19年!1巻275p.2巻291p.3巻293p.と各巻最近のコミックスに比べ約1.5倍の分厚さ(電子だけど)です。
すごい。

1851年、第1回ロンドン万博。この数年前からの話。天才の早熟な子ども社長のカイがとあるパーティーで一目惚れした麗しき女性、名も知らず恋が灯り3年が過ぎたとき、紹介で入社した秘書は男性だったが、一目であのときの人だとわかった。麗しいシゴデキはユキ。

ユキには秘密がある。でも、ユキもカイに心奪われていた。
ユキの人生は傍からみたら壮絶でもあり、孤独でもあり、選択ができない人生にも見える。
ひとときの幸せ、自分だけを見て愛してくれる幸せを知れたから、思い出だけで生きていこうとしたが…

バスカヴィルが少しでも誠実な男だったら違ったのかもしれない。愛することを知っていたら違ったのかもしれない。

金と名誉が渦巻く産業革命前後の世界。貴族と平民の根底の違いと差別が見え隠れする。
その中に、出会った光を失わせたくなく、ユキは愚かな選択をした。

カイの一途さ、時代や周囲を考えての行動、様々なことが入り乱れ、翻弄されていく。
切なさや痛みを十分に感じながら進むストーリー。

最後は、ロンドンに戻ったってことでいいのかな。
なかなかの超大作ですよ。

作品が19年前から作られたものなので、今ではメディア的には差別用語として使われない言葉も多数あるけれど、時代を象徴的にとらえるために、敢えて修正していないんだと思った。
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