聖邪の蜜月【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】
安西リカ/yoco
このレビューはネタバレを含みます▼
聖職者に“愛し子”として飼われていたけれど逃亡し、今も逃げ続けているアシュと、彼に発見された卵から孵化し、育てられた聖獣サージのお話。
物語前半は、生まれたばかりの聖獣にモフモフ感を堪能できます。
とにかくアシュの後をついて回ったり、指を甘噛みするサージの可愛いこと。
近くの村の人間に追われ、人間の姿になったサージもまた良いです。
駆除対象でもある聖獣ゆえ、居所を転々として暮らしていくことになりますが、みるみるうちに大きくなり、青年となったサージが大人になるまでの何だかんだも可愛らしく微笑ましいです。
それ故に、物語後半悲劇に一直線な流れが本当に辛い。
正直アシュが聖殿に捕らわれた子供を助けに行こうとするのを、心の中で何度引き止めようとしたことか…。
命の期限が迫るアシュを変わらず優しく世話するサージが本当に切ないです。
この辺りでティッシュ何枚必要になったか分からないくらい泣きました…。
サージの卵を発見した辺りに埋葬して欲しいと頼むアシュと、アシュを埋葬したらすぐにアシュの元に逝くというサージ。
とても切ないけれど、2人は唯一無二なんだということが伝わる素敵なシーンでした。
ラストはこの流れからは考えられなかったけれど、まさかのハッピーエンド。
途中諦めていたので、喜びも一入でした。
サージに自分は子が産めないと教えるアシュに対しての、サージのセリフが秀逸。
このシーンを見るための作品だと思えました(セリフは本編で是非!)。
読んで本当に良かったと思える良作でした。
ただ、最近子が産めるBLを読み過ぎてて、ファンタジーなんだからワンチャンいける気しかしていなかった自分に反省w
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