うみのお城【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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うみのお城【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

蜂煮

辛いのに笑って、可笑しいのに涙ぐんでいる

ネタバレ
2024年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホから。

とにかくたまんないです。読後の胸キュンキュンとドキドキがおさまりません。
例えるならば濃厚な出汁の中にパンチが効いたトッピング。その中に絶対的に信頼できるメインが横たわっていて。安心して味わえる最高の料理のようでした。

あり得ない造形の脇キャラはシュールを瞬時に伝えてくれます。
主役・うみくんは100年に一度の美形。彼の一途な恋心が引き起こす行動もあり得ないという点でシュール。
でもうみくんの素っ頓狂なところが解ってしまうんです。それは、あれこれ考えてなかなかできないけれど本音はこうしたいんだ、という気持ちの延長線上にあるからかな?と。うみくんは叶えられない本音の増幅機関として居てくれていると思いました。

美形ゆえの不遇とか人気者ゆえの不自由、その他ギリギリする出来事もシュールのオブラートに包まれて、辛いのに笑ってしまいます。
シュールだらけなのにとっ散らかって見えないのは、うみくんの気持ちが揺らぐ事はないと確信させてくれたからかな?

笑っているのに涙ぐんでしまう。「〜なのに」がよく効いた面白い、読み始めからは想像もできない感動のお話でした。
かきおろしも良かった…。
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