神さま、どうか手をとって
」のレビュー

神さま、どうか手をとって

ハルモト紺

中世ヨーロッパ的ドラマティックオメガバ

ネタバレ
2024年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ アンダーウッド侯爵家の当主は好色が祟って田舎の領地に追放されています。嫡男レオンは早逝した母親似で、母を死に追いやった父に良い感情を抱いていません。その父が水車小屋に犬を飼っていると聞きつけて確かめに行ってみます。小屋の付近には心身を狂わすような匂いが立ち込め、中では父親がまだ幼い少年を陵 辱していました。レオンはすぐに立ち去りますが興奮は冷めず、翌朝庶子である弟エリオットから隣町の魔女騒ぎを聞くのでした。父親のいない時に水車小屋に行ったレオンは、少年を前にして獣のような欲情を覚えます。嫌悪する父親のようにはなりたくたないとレオンは少年に、魔女でないと神様に誓えるなら鎖を断って逃げろと理性をかき集めて伝えます。少年ノエは逃げずにレオンに水を浴びせて正気に戻すと、神様には嫌われているから誓えないと言うのでした。身も心も狂わせケダモノのようにされてしまう…Ωのヒートを魔女の誘惑と捉えた時代、何一つ悪いことをしていないのにΩに生まれただけで嫌われ虐げられるノエを、レオンは守ろうと決意します。欲望のみの父親、肚の読めないエリオット、突然別れた父親との再会を心の支えにしているノエ、そして母親に恥じぬ行動を心がけるレオン、キャラもストーリーも力強いお話は300頁越えの読み応えでした。
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