BLACK BLOOD【単行本版】
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BLACK BLOOD【単行本版】

琥狗ハヤテ

サイボーグは植物学者と恋をする

ネタバレ
2024年7月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 辺境の惑星にセキュリティー要員として現役軍人サイボーグのイーサンが赴任します。酸素濃度が高く住むには適しない星に外敵は無く、施設内は研究室と数名のセキュリティーサイボーグだけののんびりした環境です。その研究員のミハイルがフィールドワークを申請し、イーサンがお供をすることになります。研究に情熱を注ぐ若いミハイルは生身の人間で、その生き生きした様子をイーサンは好ましく思います。ミハイルもまたイーサンの逞しく緻密な身体をそっと触らせてもらうのでした。脳と脊髄のみが生身のイーサンはブラックブラッドと呼ばれるサイボーグで、戦場で何のために戦っているのがわからなくなりこの星にやって来たのでした。ミハイルとの出逢いでイーサンは、大切なものを守るために戦っていたことを思い出します。脳が生体とはいえ軍用サイボーグとして感情が制御されているイーサンは、ミハイルを思ってドキドキすると油液が漏れ出してしまいます。そんな様子をコミカルに描きながら、失くしたと思っていた愛という感情を再び手に入れるイーサンの不器用でピュアな姿が愛しいです。機械として扱われるアンドロイドものやサイボーグもの特有の切なさもありつつハッピーに終わる佳作でした。
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