再生
」のレビュー

再生

野原耳子/桝目の助

「再生」は良いタイトル

2024年7月19日
舞台は歌舞伎町あたりかな。ある理由から、自ら風俗に堕ちて女を買いにくるていで男を抱く客の相手をする男娼・貴一。もともとノンケで彼女がいたのに、なぜ貴一はソープで男に抱かれているのか。どうしようもないヒモにボロボロにされたソープ嬢の檸檬ちゃん。貴一の常連客でサディストでヤクザの真砂と、妻の則子。愛し合っているのに壊れていく夫婦。そして人生経験の足りない童貞らしい無自覚な無神経さで貴一の心の中にするりと入り込んだ橘。貴一とみーちゃんの過去。昨日の当たり前が、今日は当たり前ではない。登場人物一人ひとりの背負うものがグイグイきます。そこからの、再生。希望を感じる良いタイトルですね。この作品が野原先生の初読みとなりましたが、続けて「化け物」「アンドロギュヌス」を読みました。あーーこれが先生の作風か、と。怒りで目の前が真っ赤になる狂気とリアルな暴力シーン多め。大好きです。
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