どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます 【連載版】
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どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます 【連載版】

セレン/碧貴子/すらだまみ

不器用にも程がある

ネタバレ
2024年7月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「彼の私に対する態度は、そのまま私が彼に取った態度の鏡」
……そうか?本当にそうか……??と、何度読み返しても首を傾げてしまいます。良く考えられていて本当に面白かったのですが、他の方も書かれているように「でもアニエスも良くなかったよね」「お互い様だよね」みたいな所に帰着してしまうのだけがどうしても納得いかず。(それを結論付けているのがリュシーではなくアニエスであり、リュシー自身は「悪かったのはあくまで自分」と認めているのがまだ幸いかとは思えど)確かにアニエスもリュシーの冷淡さに応じる形で気を張り始めてはいたけれど、最初期は優しく笑っていてくれたのに。そこで「私も上手く笑えていなかったかもしれない」と己を省みるアニエスは聖女か……?
そしてリュシー、諸々の事情があったのも彼も大変だったのもよくわかるけれどせめて「殺したいほど憎んでいる」発言は指摘されたらその場で撤回して床に頭を擦り付ける勢いで謝罪してほしかった。……とはいえリュシー側の感情を見ると可愛さ余って憎さ百倍状態になっていた訳で、なら「憎んでいる」発言もあながち間違いではないから即座に否定できなかったのか。なるほど。拗れすぎて大変面倒なことになっていらっしゃるのはよくわかった。でもアニエスがリーリエとのことで抱いていた嫉妬とリュシーの嫉妬は全然種類が違いますし、勝手に誤解して勝手に妬いて「俺が居なくてもお前は平気なんだなギリィ」していたリュシーは一度立ち止まって考えるスキルすらない、救いようもない馬鹿に見えた。彼女を喪うかもと危ぶんだ後もツンケンした態度は暫く変わらなかったし、お前は失敗から学ばないのか?あと謝罪はアニエスから明確に責められる前に自分からしろ??くだらない意地を張る場面ではないだろう??と憤懣が溜まりました。

思いのままに書き綴っていたらなんだか悪口ばかりになってしまいましたが、お話としては面白かったです。リュシー本人が誰より猛省しているのは伝わるし、やらかした男が反省する話は好きですし(?)策に溺れた国王の差配も良くなかったよねと同情できるレベルではある。あと、憎まれ役のリーリエにも「彼女は彼女で哀れだったな」と思わせて尚且つ落とし所をちゃんと作ってくれた作者様の手腕がすごい。
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