ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版
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ふったらどしゃぶり~When it rains, it pours~ 完全版

一穂ミチ/竹美家らら

触れずにはいられない

ネタバレ
2024年8月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 直木賞作家さんがBLを書いてらしたと知ってこの作品に出逢いました。結果、すごく大切な一冊になりました。読み応えがあります。わかりやすいテーマを据えつつ、同じ悩みを持つ者同士を心の拠り所にして、次第に惹かれ合うけれど、簡単に目の前に現れた人に寄りかかるのではなくて、ギリギリまで今の恋人・同居人に向き合い自分の足元だけは揺るがせたくない、なんとか関係を改善していきたい、という思いが伝わります。個人的には攻めの恋人の気持ちも分からなくもなくて、こういう存在をきちんと登場させたことも、リアルな現代社会を表しているような気がし、だからこそ深みのある作品だと感じました。最後ハッピーエンドに至るまでも時間を要し、それぞれが自分の中のけじめをつけ、相手を思えばこそ一歩引いて、でもやっぱり触れずにはいられなかった、という、なんとも嬉しい結末でした。攻めの荻原、ほんといい男です。
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