コッコとのこと
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コッコとのこと

三田六十

幸せを形で表すなら卵、なのかもしれない

ネタバレ
2024年8月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ いろいろあって、やっとやっと三田先生の新刊が出ました!単話も見ていましたが、まとまると喜びも倍増です!!優しい絵と、あたたかく、しかし考えさせられる、三田節といいますか、このお話でも遺憾なく発揮されています。
自分が雄鶏と知らず、刷り込みのように「卵を生む」ことを命題としているコッコと、人間でいうならヒモというべきオット。結構前半はオットが最低なことしてて、コッコがそれに気付かない分余計に不憫なんですが、無知ゆえの無垢のパワーは凄い、オットの心の奥底の柔らかくあたたかい部分を見事に孵化させます。
そして身も心も結ばれたふたりのもとにやってきた有精卵…どう考えても親子じゃない、そもそもコッコは雌鳥じゃない、そしてそのことを知らない…ものすごく脆い、不安定な形なんだけど、みんな幸せそうに笑ってる。森の仲間も笑ってる。なんかそれでいいんだと思わされました。今手元にある幸せを、卵を温めるように大事にすればよいのかなと。振り返って自分だってダイヤモンドみたいな幸せを得たことなんてないし、コッコたちと同じだわ。
これで終わっても全然問題ないのですが、この家族の物語を追いたい人は多いはず。続編熱烈希望です!
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