このレビューはネタバレを含みます▼
「2055」の17年後の物語。世界線は同じなので前作から読むと付箋が繋がるかなと思います。(ネタバレしています。)
前作よりさらにディストピアな世界になってる…😩と感じた冒頭、あのヤナギとアオイは希望じゃなかったの??と叫びました(弥凪と葵の旧アンドロイドがヤナギ、アオイ)
人の負の感情はノイズだと…最新のAI(アンドロイド)が人間をカウンセリングし、幸福感に満ちた戦争や犯罪のない、平和な世界で暮らしている人間たち。そんな世界でも反発する人は存在して、本来の人間らしさとは?と海上から訴えている。
物語は身体は人間で頭部はAIによって復元された電脳を持つスルガと、両手だけ機械化されたサガミの物語。元のスルガはサガミと愛し合っていたんだけど、その記憶はレジスタンスの危険性からノイズとして消去されていて、電脳スルガを最新AI IZは常に観察研究している。恋する気持ちをアオイから知ろうとしても、弥凪を想う感情をスルガとは共有できないとアオイ。ヤナギの記憶データが見つかりまた2人の人生が送れるとアオイに言っても、弥凪と葵の遺骨を手に、アオイは自身を消去して欲しいと言う。
共有の拒否や○を願うアオイの感情は、電脳のスルガからしたらノイズでしかないのに、彼は消去された感情、サガミとまた愛し合おうとします。
なのにサガミは情事中泣いていて。何故かゾッと怖さをそこから感じ…。それは運転中ラジオから、自○したくなったらカウンセリングを受け薬を飲みましょうというcmを耳にした時のゾワッとした感というか。人と動物の違いは、人生の終わりを自分で決められると人は知っている、それほど人は不完全なものと。電脳化される以前のスルガを求めるサガミの割り切れない想いは哀しく(美しいのですが…)あの、何もかも諦めた様に感じた彼の表情は刺さりました😩
エピローグ。スルガのオリジナルの記憶を消去するサガミに涙でした。記憶の中のスルガは今のスルガにはない、喜怒哀楽がありました。何より皮肉なのが、前作の旧アンドロイド アオイの方が進化したアンドロイドスルガよりも人間らしいのが辛かったです。人の負の感情をノイズという物語に全体主義を感じ、唯一の希望はサガミに抱きしめられた時スルガが言った記憶の話でした。
真っ黒なベタ描写や箱の様な建物も良いなと。好きな作品です。