宝石の国
」のレビュー

宝石の国

市川春子

魂の安寧 やっぱり深い作品

ネタバレ
2024年8月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 12巻まで読んで、すごく考えさせられました。もちろん絵も話もすごく良い上で。たくさん笑って泣いた作品です。大好きです!自分も宗教には詳しくないですが、人間が死んだら魂は天国や極楽で救われると教わりました。でも、月人はその永劫の安寧に疲れて無に還りたくなったのですよね?最後に祈る者が、全てを背負うって…。彼の悟り?を開くまでの1万年の苦しみと孤独は計り知れません。いくら彼が最初は純真で脆くて浅はかだったとしても、巻を進むごとに思慮深くなる分背負うものが大きくなっていくし。自分が壊れていくほどの苦しみを背負うって…。月で幸福に過ごす宝石たちは対照的でした。でも、その幸せもよくわかる。自分が死んだ後、天国や極楽で過ごすのか、無に還るのか、どちらが幸せなのか考えさせられました。
追記。フォスは自分では図らずとも導かれるように鉱物から人間になっていくところが深い。先生に認識されるために。物質的にもいろいろなものが混ざって、感情もいろいろなものが増えて、フォスは無機物なのに涙を流す。人間の複雑さを感じました。
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