隷属の定理
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隷属の定理

沙野風結子/笠井あゆみ

攻めの幼少期から青年期に至るまでが…

ネタバレ
2024年8月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 式見槐三部作完結です!!最初は槐好かんわ〜と思いましたが、立派にこの癖強登場人物達をコントロールして、物語を完結まで導いてくれました。ありがとう熾天使。第一部の攻め兄をもう一度出してくれてありがとう!!!やっぱりこのカプと式見さんの関係いいわ。もう式見さんにも相手がいるので何も起こらないんですけどね、緊張感のある関係性好き。それから、貞野弦宇、今作の攻め乃木さんを殴りましたね。この人も、今じゃすっかり式見さんにべったりみたいなんですけど、そうなるまでの過程をもっとゆっくりじっくり見たかったです。んで、今作ですが!!攻めがこんなにも苦悩していたんだな、と。沙野作品にはまだまだ新しい展開があるな。もう式見さんへの思いが叶わないことは理解しつつも、ままならない思いと身体を持て余した受け。受けの破滅願望を引き受ける攻めとのアトリエでの爛れた生活。からの、受けがもしかして、攻めのこと追い詰めていた?と気づくド田舎の山中、ひっそりとお互いのことだけを考えて生き、星空を見上げる生活。落差激しいです、今作。あんな様々な道具が飛び交っていた東京からの純愛。そして、ラバースーツ。やっぱり、付き合いたてのカップル期過ぎたら、もっと激しい欲求があること誤魔化せないよね、と思うんですよ。なんか、手が触れ合うだけでドキドキしたり、夜布団で抱きしめられて攻めから「いい?」って聞かれるのって、沙野作品では珍しく新鮮に感じられめちゃくちゃ照れました。というか、攻めがこんなに優しい人だと思わなくてごめんなさい。特にお母さんの件と、画家として軌道にのるまで攻めのこと支えてくれた彼は本当に攻めにとってとても大きな存在だったと思うから、攻め一度壊れてしまっても仕方ないと思う。攻めのみんな俺のそばにいて欲しかったで泣きました。その辺詳しく書きだしたら、この本終わらないくらい長い話になると思う。攻めの人生ここまででも十分辛いんだけど、最後には故郷の家も倒壊しちゃうからね。また来ようねと言っていたけれど、帰る家がなくなってしまったことはとても辛いと思う。それなのに、また東京で絵を描いて立ち直る攻め。攻めの再生物語でした。受けだって、十分すぎるくらい辛い人生だったけど、攻めと一緒なら大丈夫ってそう思える。本当にね、式見さん大活躍でした。まだ続いてほしいよねー!
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