明日に続くただいまを
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明日に続くただいまを

横山よ紗

名前をつける

ネタバレ
2024年8月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ただのクラスメイトで、友達とも少し違って、地元から出て同じ大学に行くからとルームシェアを始めて、無自覚な二人がゆっくり時間をかけて自分の感情や二人の関係に名前をつけるまで。
当て馬も嫌な人も出てこないので、丁寧に描写された二人の感情に集中して読めます。過去話と現在のお話が行ったり来たりしますが、表現が分かりやすいので混乱することもないです。
個人的に、なんといっても攻めが恋愛感情の自覚を持つまでの描写がお見事なんですよね。一足飛びに好きかも!じゃなくて、周りの言動や小さな出来事が積み重なって、いままで自分のしてきたこともきれいな伏線となってじわじわと理解していく。ルームシェアを始めてから女が欲しいと思ったことがないことに気づいて、受けから意識を逸らすために合コンに行くか!となるのに数秒後に受けに会ったら即やっぱり行かないになるところがメチャメチャに好きで……かわい過ぎる……
ただ他が丁寧だった分、転機となる寝ている間に攻めにキスをされた受けが「俺のことが嫌いだからキスしたのか?」になる展開だけは繋がらなくて勿体なかったかも。攻めのシャンプーを使うなって言われたり、攻めの友達に自分とのルームシェアを話してもらえてなかったり、そういう伏線があった上で攻めが「受けと一緒にいるのが限界」と他人に話してるのを聞いて、悲観的な性格の受けがいよいよ「俺は攻めに嫌われてたんだ」となるのはすごく納得できるのに、「鬱憤を晴らすためにキスした?」になるのは何でだよ!!!になっちゃった。起きてるときなら嫌がらせでもまだ分かるけど、嫌いな相手が寝てる間にキスしても自分が不快になるだけなのよ……笑
それ以外はほ〜〜〜んとにメチャメチャ丁寧で入り込めました。方言もお話の柔らかい雰囲気に合っててかわいかった!
修正は白抜き。
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