魔術師リナルの嘘
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魔術師リナルの嘘

渡海奈穂/八千代ハル

敵国同士の受けと攻めが惹かれあっていく

ネタバレ
2024年8月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても面白かった。大陸統一を目指す強大な軍事国家の魔術師受け。受けは野心も出世欲もなく伯爵家の太い実家と恵まれた容姿をフル活用して図書館でショボイ魔術師としてのんびり働いている。なのに何故か敵国の捕虜の世話を言い渡されて受けの平凡ライフは終わりを迎える。攻めが置かれた状況があまりにも辛くて悲しかった。攻めを蕃族と呼び人として扱わず、言葉も通じない中で異国の言葉で「帰りたい」と呟く姿に涙。そんな状態の攻めを放っておけず世話係の範疇を超えて攻めに寄り添い看護する受け。手負いの獣状態だった攻めが受けに心を開いて懐いていく様子が良かった。口数は少ないが、命を救ってくれた受けに魂も運命も委ねて尽くすという覚悟が見える。その後も戦争の悲惨さや愚かしさに悲しくなる。2人が生きて平和に暮らすことはできるのかとハラハラした。
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