このレビューはネタバレを含みます▼
高校を卒業して東京に出てきて一人ぼっちを拗らせたトヒコが都会の雑踏で男とぶつかります。「すみません」と男に言われたトヒコは「僕のこと見える人がいるんだ」と思わず呟きます。一夜明けて所持金も心細くなり、トヒコがデリ募集の貼り紙を真剣に読んでいると、昨日ぶつかった男が「また会えたね」と言ってトヒコを自分の家に連れ帰ってくれます。コウちゃんと名乗る男はどこまでも親切で下心も無さそうなのですが、トヒコは何かお礼をしなくてはとおもむろにフ◯ラを始めるのでした。そしてトヒコが快感を感じても声を出せないことがわかります。ストーリーの進行と共にトヒコの絶望と孤独、鳴けない原因、そしてコウちゃんの怪しい善人ぶりの訳が明かされます。人間としての根幹はしっかりしているけれど、世間を生きるのに必要なものがすっぽりと抜け落ちている二人が、エロでお互いと自分自身とを解放してゆきます。あるがままのお互いを受け入れていく度量の大きいカプは、乾いた笑いと湿度の高いエロとがミックスされた作者様ならではの世界でした。『銀のエンジェル』で登場した謎キャラが紙パック飲料で再登場しています。名前もありました!