わたし、今日から「おひとりさま」【単行本版】
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わたし、今日から「おひとりさま」【単行本版】

きよね駿

「生きてさえいれば」

ネタバレ
2024年9月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 227ページ。
なんとかなる。そんな印象の作品でした。
好きな度合いが及ばずの星4つですが、この作者さんの別作品も読みたいと思わされました。キャラクターの描き方が良く、割と淡々としているのも好み。
流されるタイプの主人公、それでも生きているから行動する。その行動と周囲の助けで、なんとかなる手に入る範囲の幸せの中で生きていく。性格的には好きなタイプではありませんが、ほっとけないタイプの主人公で、じゅりちゃんが仲良くしてるのがなんかわかる気がする。
……しかしこれ、子を持つ親の身としてはほんとつらい。マジでつらい。いちおうなんとかなっている日々だし、新しい幸せも手に入っているんだけど、ずっと埋まらない穴を抱えたままなのもわかる。本当はずっと泣いていたかったろうし、娘のミチとの喫茶店でのシーンは本当に幸せだと思えるひと時だったと思う。
「なんとかなってしまう」ということは、救済であると同時にこの上ない残酷さがあります。
「生きてさえいれば」の主語が主人公の場合の救い、「生きてさえいれば」の主語が娘の場合の悲痛、つらい……つらいね……。
あと、元旦那に往復ビンタかましてぇ。あっちはあっちでつらいだろうから仕方ないとは言え、主人公の涙を堰き止めておいて自分は泣いて許されようっていうのが重罪。
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