世界でいちばん遠い恋
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世界でいちばん遠い恋

麻生ミツ晃

待望の2巻、前巻の世界をそのまま引き継ぎ

2024年9月10日
ずっと待っていました。1巻の発行から3年、先生の体調もあったと思いますが、2巻を読んだ感想としては「そりゃ、この完成度を追求したら、時間かかりますよね」と納得というより、圧巻させられる続巻です。期間が空くことで世界観が崩れることも多い中、決してそれはなく、まるで一呼吸で描かれたような作品で、そのクオリティが十嘉の音への追求と重なり、というよりこの芸術への探究心は先生と十嘉は同一なのだと伝わり、決して自身の感情に流されず、読み手に押し付けず、媚び引かず、一歩一歩ストイックに力強く進む様が、大袈裟かもしれませんが、読んでいて胸が締め付けられました。五十鈴と十嘉の人物像についても別の人格として、紙面という限られた世界ではあってもそこにしっかりと命を受け、また先生にしか描けない静かで澄み切った深く奥行きのある世界が確かにその存在を感じさせてくれます。描かれていない音も風も匂いも光も、そこにありました。現実と仮想・創造の臨界壁を感じる作品。ありがとうございました。
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