プリフェクトの箱庭【電子限定漫画付き】
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プリフェクトの箱庭【電子限定漫画付き】

左藤さなゆき

なんだこれ、、

ネタバレ
2024年9月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 感情がついていかないという経験は、初めてです。
執着や溺愛、共依存等を好む私の中で、確実にこの作品はトップに君臨しました。月人の持つ憂いや、儚い部分。人としての感情の欠落。人より優れているから神様で、孤高な存在。でもそんなのはただの仮面で、月人は普通の人間なんですよね。神様である事を強いられた環境や、幼少期の母親からの執拗なまでの教育が彼を狂わせたのでしょう。それ以上に、頭が良すぎるのも難儀なものだなと思いますね、、。
でも、読者の私ですら呑まれました。月人を崇拝していた信者達は、月人の体液を飲むことが出来るだけで幸せだとは。
狂いすぎてて美しかったです。末永は、月人の崇拝者ではありましたが、芸術家としてのプレッシャーに押し潰されそうな時に、月人の感情が無いような孤高さに救われていたんでしょうね。末永は、少しずつ前を向けるようになったみたいで良かったです。でも、本当に実際にいたら魅了されるのは無理もないですね。恐怖というよりは、完璧すぎる月人の1巻でいう 自分は神様だもの というセリフ。そして暴走して、澪斗を囲って何日も抱き潰す。3巻を通して私が1番好きなシーンです。普通にやってる事はえぐいんですけど、あの時は、他人の言葉はどうでも良くて自分が絶対的支配者 であったことが伺えたし、それを自らも知りながら神様になっていた月人が、私は一番可哀想で愛おしいと思いました。
読者がこの気持ちになるなら、あの箱庭で生きてきた者たちが狂うのは当たり前な気もします。
ただ、澪斗にとっては月人は 普通の人間で お月様 だったんですよ。だから、救えたし救われたのでしょうね。
3巻で、澪斗を囲っていたあの箱庭は誰にも邪魔出来ない場所であり続けるのでしょうね。人になれた月人でしたが、執着愛の行き着いた先は、最初に感じた怖いくらい澪斗にしか興味のない月人のままでした。
本当に最高の作品に出会えました。
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