金銀ささめくひみつは夜
」のレビュー

金銀ささめくひみつは夜

野白ぐり

詩的なタイトルがいい

ネタバレ
2024年9月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家様の作品。独特な筆致の方で、その筆致(丁寧で精巧かと言われるとそうでもない)に合うような設定が多そうで、今作を読みました。

とある国の基幹産業を担う家の嫡男と、そこに引き取られた当主の想い人の忘れ形見との密やかな恋物語。
身分差から立場上許されない、という事を各々わかりながらも捨てきれず、一時的な逃避行をし、その後も互いに想いを抱えて生きることを選ぶ2人の姿が描かれており、詩的なタイトルと、寓話な雰囲気が作画と合っています。

どこで手を離すか(逆に、手に取るか)、、現当主(受け母)があの場面で、自分を投影したのが、忘れ形見の側だったのは大きく、あそこで手放してしまった後悔と、それでも使用人に気取られてはならぬと言う矜持に、当主として率いる重さを感じた。
自分は当主の立場を優先した。しかし息子はどうだろう?できるのか?と疑いながら、愛情を持って見守っている。息子世代の物語のようでいて、母親世代の物語といえると思いました。
続編希望される方が多いようですが、このまま終わらせて欲しい作品。
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