おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】
晴田巡/荒瀬ヤヒロ
このレビューはネタバレを含みます▼
婚約者の男子がその名前ケイオスの通り、カオス(混迷)で理解に苦しむ言動ですね。
エンタメ漫画だからか、幼くて婚約者を放置していただけということになっているが、実際の言動は婚約者のニコル嬢に関心を持っていなさすぎる。
王女への思いが友達としての感情だとしても、愛の反対は無関心というように、王女への関心と比べてニコル嬢に関心が無さ過ぎて、婚約者のニコルのことはなんとも思っていないようにしか見えない。誤解ではなく事実に見える。
女の子慣れして無いからだというエクスキューズは描かれているが、説得力がまるで無い。パートナーに花を贈る習慣のあるイベントの日に、ニコルから今年は花を贈らなくて良いと断りの手紙をもらっても、そのまま受け取り気にせず花を贈らない言動も、ケイオスはニコル嬢に全く関心がない証左でしょう。婚約破棄や白い結婚を恐れて回避しようとする言動も、ニコル嬢への気持ちがあるからではなく、貴族として人並みのこと(後継者となる実子を得るなど)が出来なくなることを恐れてのことにしか見えない。愛もなく大切にしてくれない男と結婚せざるを得ない女性がいかに傷付かずに楽しく生きられるかをエンタメ風に模索した作品にすら思える。ニコル嬢が婚約者から愛されなくても、自分は自分を愛そうとして自尊心を維持しようとする様子には好感は持てるし、希望や慰めを与えてくれる作品かもしれない。ケイオスのニコルに対する無関心は、幼かったからという説明だけでは済まないものがある。
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