あの子の子ども
」のレビュー

あの子の子ども

蒼井まもる

多くの方に読んでほしいです

ネタバレ
2024年9月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高校生の妊娠を扱った作品です。
当人や家族の葛藤や衝突、学校の対応や噂の広まり方、(家庭にもよると思いますが)ヒロインの母だけが本人を尊重し寄り添ってくれる辺りまでとてもリアルです。

彼氏の宝くんはものすごく良い子でヒロインの福は良くも悪くも年相応の拙い思考でしたが、足りなかった知識と遅すぎた行動を補うかのように積極的に学び知識を身につけ人と向き合いどんどん"母"と"父"の顔になる2人を見ると幸せな未来を願わずにはいられません。

福たちはたくさんの壁にぶつかりはしたもののどちらかといえば恵まれた環境です。終盤には最悪な展開が起きてしまう若い妊婦さんも出てきます。こういう事が現実で起こってしまう/当事者になってしまう可能性があること、全員が宝くんのような出来た男の子ではないことも脳に焼き付くいい意味で美談では終わらない素晴らしい作品だと思います。

愛し合う事や性的なことが悪なわけではないと思います。むしろ話題としてタブーにせず大人が子どもに正しい知識を与える事や若い世代がそれをしっかり身につけること、家族や他者との向き合い方とコミュニケーションが大切だと感じました。

老若男女問わず多くの方に、序盤で読むのをやめてしまった方にもどうか最後まで読んでほしいです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!