世田谷シンクロニシティ
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世田谷シンクロニシティ

本郷地下

シンクロニシティ(共時性)意味のある偶然

ネタバレ
2024年9月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 運命や少女マンガ的偶然とは違い、偶然をシンクロニシティと捉えてそこから始まる恋物語です。年上の彼女の転勤で住む所の無くなった樋村高史は、大学の友人の寮部屋に住むことになります。あっち系らしいと聞かされていた相部屋の住人は、高史がバイトする喫茶店の常連で、タイプだなと思って見ていた深町巳晴でした。特待生かつ苦学生で、バイトと勉強に忙しい深町とは何故か授業や登録バイトで一緒になります。そしてバイトあがりで半裸で寝ていた深町に欲情してしまった高史に、深町は「したいの?」と訊いて高史を受け入れるのでした。彼女と離れたものの別れてはいない高史は、自分が「恋」をするのは女の子で「欲情する」のは男性なのだと吐露します。そのせいで自分も相手もたくさん傷つけてきたのだと…自分を掴みきれずに苦しんできた高史と、冷めた態度をとりながら報われぬ片恋を捨てられない深町とのシンクロニシティが、やがて恋となってゆきます。優しい絵でふわっと描かれていますが、異性を愛せない自分に悩む姿がリアルでした。手作りスノードームに込められた高史の思いが切なかったです。
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