甘くて切ない
」のレビュー

甘くて切ない

月村奎/yoco

「この先」が読みたい作品。

ネタバレ
2024年10月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 所謂“毒親”に育てられた自己肯定感の低い律。不憫な境遇に腐ることなく、健気に堅実に生きていてとても好きな主人公でした。母親の理不尽さを自己否定に変換したり、母親に尽くすことで罪悪感を慰め、そんな自分にさらに嫌悪感を抱くという、典型的な虐 待児の思考が苦しいですが、優しい攻め兄弟と出会って、この2人がいれば今後律が不幸になることはないだろうと安心できたところで話が終わってしまいます。
先生ご自身ももっと書きたいことがあったと後書きで書かれていましたが、個人的にもこの先まで読みたかった、と思わせた作品でした。こういう母親は変わることは難しいと思うので、しっかりと別離を果たさなければならないと思いますが、そこにまた物語が生まれそうに感じます。母親との関係がどのような結末を迎えるのか、そこまで読みたかったというのが正直な気持ちです。それくらいキャラクターが良く、好きな作品だからこその気持ちです。この先まだ読みたかったという今で★を−1しました。
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