課長 島耕作
」のレビュー

課長 島耕作

弘兼憲史

サラリーマンのお手本?

ネタバレ
2024年10月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ どの「耕作」にレビューするか迷いましたが、やはり「入口」になる作品はこれでしょうから、こちらに失礼します。

もう、令和どころか、平成の半ばあたりからは「完全アウト」の人物です。

いまも、人生の成功者として、温厚な人格者として「相談役」が老後を楽しく、かつ、まだまだ現役でエネルギッシュに活躍する姿が連載されていますが、何千人もの人生をつぶしておいて、よくもまあ好々爺のふるまいができるものだと寒気がしてきます。

新人のころから、新人研修の講師の女性の不倫の現場を偶然に目撃し「ビジネスは相手の弱みを握れといいましたよね。」とドヤ顔で交渉に入ろうとする。こんなのは序の口。

どんなに会社に貢献した人でも、人手が足りてきたら、ゴミのように捨てる。
それが一緒に汗を流した盟友でも、自分に利益がなくなれば知らんぷりでポイです。

自分の弱みを握られると、相手が「お前のオンナを差し出せ」と言ってくる。(昭和の作品では、金品ではなく、敵のパートナーの女性を性的に侮辱することで勝利とするような描写がすくなくなかった。)

それを「そんなことを言われたが、僕は…」と言葉を濁しながら、パートナーに伝えると、女性は自ら敵のもとへといく。

帰ってきて、女性が「自分はもう汚れてしまったから」と、身を引くと伝えてくると「そう、それじゃ仕方ないね。いままでありがとう」みたいなことを言い、ひきとめもせずにバイバイ。

そしてまた、妻子がいるのもかまわず、社内の若い女性と肉食オフィスラブ三昧。

これのどこが、サラリーマンの理想像なんでしょうか。

ほぼ全作品を読み、あちこち記憶がまざっているようなところもあるかもしれませんが、本当に、多くの同僚や盟友、パートナーを踏み台にして、けちらして、よくも「相談役」として穏やかに余生をおくれているものです。

でも、こういうのが現実なのかな。自分の周りでも、出世した人は、たしかに、善人ばかりとはかぎらない。

女性の部下には、とても読ませられない。でも、男性の部下には、私費で単行本を数十冊購入して、社内研修のテキストにして読ませて感想を書かせてみたい。
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