願いごとは口にしない
」のレビュー

願いごとは口にしない

谷崎泉/麻生海

何度も何度も泣いて前が見えなくなった

ネタバレ
2024年10月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 超〜ネタバレありな感想なので、読まない方がいいです。以下、感想。受けは、とても美しい人なんでしょうね。攻め、攻めの友人、弁護士、医者、それに攻めの父親。たくさんの人から慕われて、誰しもが受けからの愛を求めて奪い合うような関係性だったのではないかと思うのですが、受けの薄幸な感じはなくなりません。佳人薄命という言葉が思い浮かぶ。むしろ、ああやっぱりね、という感覚すら読者に抱かせるようなそんな感じです。まず、賢一という名前がそんな美しい人に似合わない。小学生だった攻めに初めて会ったときの言葉もおぼつないような受け。攻めの父親も左利きだったんでしょうか。手の長さに目が行った受け。全て読み終わってから読み返すと、どんなシーンも愛おしく感じられる。しばらくは攻めが大人になるまでの日常が続きますが、そんなふうに何十年も穏やかな時間を積み上げてこられたことに感謝する気持ちがわきます。受けはずっと綱渡りするような心持ちでいたはずだから。攻めは、途中受けと少しだけ似た人と関係を持ちますが、この人がちゃんと自分が傷ついたこと伝えてきたシーンはなんかグッときました。なんか、そういう大人はアリだと思います。大人だって傷つくんだってこと、忘れちゃいけない。大人になったって、何歳になってもお誕生日お祝いしたい。そういう忘れていたものをね、思い出させてくれる作品なんです。後半、ガラッとミステリー仕立てになり、最後の最後まで2人の関係から目が離せず一気読みでした。こんなに集中して、他ごとに手がつかなくなるような作品はそうそうありません。今日が日曜日で本当に良かった。この2人がこの先もずっと一緒にいられるように祈ります。読み終わってみると、たくさんの愛に溢れた作品だったことがわかります。受けも攻めも、決して1人じゃなかった。ひとりぼっちならこの作品は生まれなかったんだ。2人ともたくさんの人から愛されてた。ベランダで水仙育て始めたくなる。みんなみんなありがとうーーー!!!谷崎先生ありがとうーーー!!!
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