今夜だけ生きのびたい
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今夜だけ生きのびたい

おにぎり1000米/星名あんじ

ピザはふかふか生地で

ネタバレ
2024年10月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「満月の落とし物」の作者さま。私はその作品で作者さまを知ったのですが、WEB小説界隈ではすでに人気作者さまだったんですね。この作品が処女作とあとがきにあってびっくり。書籍化にあたり修正されたのでしょうけど、老練な技量の作家が書いたようにも感じます。本作の関連作品も含めてタイトルのつけ方も良き(シリーズ化で5部作くらいになるのかな?)。実は順番を間違えたというか、「教室」の方を先に読了してしまい、あとからこちらを読んで繋がりに気づきました。続けて読まなくても支障はないですが、本の紹介文のとこにお知らせあってもいいかも。やや硬めの文体が心地よく一気に読みました◆過去の罪悪感から悪夢に苛まれる回路魔術師アーベルと、そのルックスと出自に反して浮いた噂ひとつない質実剛健な騎士クレーレ。出会いの発端がピザというのもユニークでした。本編でその後ピザが出てこないなぁとおもったら、巻末のSSで再登場。やはりキーアイテムですよね♪ふかふか生地で♪当て馬役のエヴァリストも憎めない存在でした。男装の麗人エミネイターも良いキャラですね。三羽鴉もね(笑)書き下ろしSSがエミネイター視点なのはうれしいです🍒自由を何よりも重視する血筋。曽祖父に生き写しの見た目。アーベルの意識しないところで血と才能は受け継がれていて。愛されていた過去も。外堀を固めながらじっくりと愛を育んだクレーレに、飛んでいってしまわないように繋ぎ止められたアーベル。愛される幸せを知って、2人で築いていく未来が光あるようにと思いました。一度読んでわからなくても、二度三度と読むたびにジワる作品です。
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