読み放題で読める秀作!文章が好きで、読み放題に登録するたびに読み返しに来てしまいます。3部構成からなり、各章で王宮に起こる別々の事件を解決していきます。ページ数わからんけど、かなりのボリューム感で読み応えがあります。
本作には「回路魔術」と「精霊魔術」という概念が登場します。精霊魔術は他作品の魔術と同じような捉え方で良さそうですが、回路魔術の方は聞き慣れない。魔導具に近い扱いかな?主人公は回路魔術師で、回路魔術師は地味な存在ながらも国防の根幹を担っています。現代におけるSEみたいなものか?(違うか)
惜しむらくはタイトル。『今夜だけ生きのびたい』という美しくもセンシティブなタイトルに、不憫受け好きセンサーがビビビッと反応してしまいますが、実際はそこまで悲惨なことは起こりません。主人公は身内を立て続けに見送った喪失感に苛まれており、いっとき心を病んでいます。攻めとの出会いや仕事の充足によってその危うい精神状態から立ち直っていき、その点ではタイトル間違いではない。が、タイトルのインパクトによって不憫受け好きのハードルを上げてしまっているかな?少し勿体なかった…。
2人が惹かれあっていく部分の感情を抑えた表現は、翻訳文好きにはたまらん匙加減です。エチシーンも控えめ表現ながらも熱量とムードはたっぷりで、好みなんだなぁ。
別作品「モフモフに変身…」の方は文体が全然違うので、敢えて書き分けておられるんですね。素敵な文章です。